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初心忘るべからず

長岡京 小倉山荘という、おかき専門店があります。そのお菓子の中に「洗心言」という小さい冊子がありました。

母親から、かなり前にその冊子をもらいました。その冊子のなかで、時を超える言の葉として、世阿弥の初心忘るべからずという言葉が紹介されていました。

とても良い文なので、折に触れて何度も読んでいます。その一部をご紹介させてください。

 

「この言の葉は『最初の志や情熱を忘れてはならない』という意味でよく使われていますが、本来の意味はそれとは異なります。

芸を磨くうえで、世阿弥が忘れてはならないと教えるのは、つぎの三つの初心です。

『是非の初心忘るべからず』。芸の習いはじめのころの失敗。そのときに味わった屈辱と、それを乗りきるために要した苦労を忘れてはならない。

『時々の初心忘るべからず』。年を重ね、修業を積み、芸が向上していっても、けっして驕ることなく、その時々に感じる自らの技量の足りなさから目を背けてはならない。

『老後の初心忘るべからず』。老境に入ると、年齢にふさわしい芸風を身に付けなければならない。年老いたからとあきらめたり、恐れることなく新たな芸を志し、それにともなう困難を乗り越えていかなければならない。

世阿弥が意味する『初心』とは、自らの未熟さのこと。『初心忘るべからず』とはつまり、芸を上達させるなら、自分の至らなさをつねに自覚しておかなければならないということです。そうすれば、どんなときでも、そしてどれだけ年をとろうとも、新たな試練に前向きな気持ちで向かっていけると説いているのです。」

この文章を読むことで、僕は何度も勇気づけられてきました。世阿弥に会ってみたいと思います(きっと会えないでしょうけれど)。

勉強も芸も同じだと思います。僕も勉強している身であるので、世阿弥の言う「初心」を忘れずに、学び続けたいと思っています。

秋山大治郎

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